“かぜ”と診断されたときに、自宅でできること
今年の夏は、新型コロナウィルス感染症、RSウィルス、手足口病、ヘルパンギーナ、、、、、、と、こどもの感染症大集合か!と、思ってしまうほど、いろいろなお熱の原因が流行していましたね。やっと、感染状況は少し落ち着いてきた、というところでしょうか。
しかし、これからは徐々に寒い時期になり、お熱を出す機会が増える時期です。前のコラムでもご紹介したとおり、この2年間流行のなかったインフルエンザが今年は流行するのではないか、と言われています。
こどもが発熱したとき、心配ですよね。お薬で治さないといけない病気もありますが、いわゆる“かぜ*”といわれるものは、薬ではなく、こども自身でこの状況を乗り越えていくことが必要なものも多いのです。
“かぜ”を治すには、しっかりとした休息がとれることが何より大切です。
今回は、“かぜ”のとき、ご自宅でできる対応について、お話しさせていただこうと思います。
*かぜ;ここでは抗菌薬を必要としないウィルス感染症と定義します。症状は、発熱、咳嗽、鼻汁が主です。
- 解熱剤の使用
「お熱が高いとよくない」、「解熱剤を使ったほうが早く病気がよくなる」、「解熱剤を使えば熱は下がるはず」…、こう思われている方も多いと思いますが、全て誤りです。“かぜ”がよくなるには、ご本人の体がその状況を乗り越えていく時間が必要であり、解熱剤を使えば早く治るわけではありません。
解熱剤を使用するメリットは、一時的にしんどさが楽になることです。その間を水分摂取や睡眠にあてることができ、体が休息をとるためには、とても大切なお薬となります。逆に、熱が高くても水分摂取ができていて、よく眠れている様子であれば、あえて解熱剤を使用する必要はありません。「解熱剤を使用しても熱が下がらない」と相談される方もいますが、ぜひ、熱の高さではなくお子様の様子を観察してあげてください。解熱剤を使用した数時間、少し楽になった表情がみられるのではないでしょうか。
- 経口補水について
熱があると、体から汗として水分が逃げてしまうため、普段より多めの水分を摂るように勧めて下さい。お水に限らず、水分になるものであればなんでもかまいません。ミルク、麦茶、ジュース、果物、ゼリー、アイス、経口補水液、等、この時ばかりは水分を多く含むものであればなんでも構わないと思ってください。熱で「ハーハー」してしまい水分摂取が進まないときは、解熱剤の使用をお勧めします。
お食事は体が受けつけないこともあるので、無理して食べさせなくてもよいでしょう。
- お薬
お薬だけで症状がゼロになるわけではありません。外来では、少しでも症状を楽に過ごせるための処方がなされます。指示通りの内服をお勧めします。
- 加湿
とくに、“かぜ”の状態には乾燥が体にこたえます。
加湿器や洗濯物を干す、等で部屋の乾燥を抑える対策をしましょう。
夜間咳嗽で眠れないときは、窓を開け、換気することが症状緩和に役立つこともあります。
- ご自宅で注意していただくこと
意識障害が悪くないか、水分摂取はできているか、睡眠がとれているか、を見守ってあげてください。
“なにか変だな”と思うことがあれば受診にてご相談ください。
発熱中に目の充血や発疹等、他の症状が追加された場合、別の診断に至ることもありますので再度受診をしていただくタイミングです。
外来では次回受診のタイミングをお伝えすることもあります。聞き逃したなというときは、ぜひ気軽にお聞きください。
服は着た分体に熱をため込むため、特に発熱時は薄着をお勧めします。本人が「寒い」と訴えるようであれば一時的に重ね着をしてあげてください。
“かぜ”の症状を少しでも楽に乗り越えられるように、ぜひ、一緒に見守りましょう!!
<参考>
小児疾患診療のための病態生理1 改定5版
小児科ファーストタッチ 岡本光宏