【熱性けいれん】対応と予防
【熱性けいれんって何?】
乳幼児の発熱時(通常は38℃以上)に発作的に手足や体がガタガタと痙攣するもので、数分で自然に落ち着くことが多いです。高熱のときに、ぶるぶると体が震えるのはシバリングという現象で、熱性けいれんとは異なります。
ご両親のどちらかが幼少期に熱性けいれんを起こしたことがある場合には、お子さんが熱性けいれんを引き起こす割合も高くなるといわれています。
【熱性けいれんは繰り返す?】
再発率は15%といわれています。
ご両親の熱性けいれんの既往、1歳未満で熱性けいれんを発症した、発熱して1時間も経たずに痙攣した、39℃以下で痙攣した、のいずれか一つでも当てはまる場合は、再発率30%といわれています。
【けいれん時の対応は?】
熱性けいれん自体が命に関わる可能性は低いですので、落ち着いて対応することが大切です。
舌をかまないように口にタオルを入れたりするのは呼吸の妨げになり、けいれんで嘔吐することもあるため窒息の原因にもなりかねないので絶対にやめましょう。また、親御さんが口の中に手を入れたりするのも危険です。
痙攣は1-2分で収まることも多く、けいれん後に泣いたり、ご家族のことを認識できたり、意思疎通が可能であれば、慌てずに様子をみてください。落ち着いているようなら、夜間であれば翌日にかかりつけの病院に受診しましょう。少しでもぼーっとしているなどあれば、すぐに医療機関(夜間なら救急外来)で診察を受けてください。
もし痙攣が持続する、痙攣は止まっているけど視線が合わない、意識がはっきりしないようならば、すぐに医療機関を受診して(救急車を呼んで)対応を仰ぎましょう。熱性けいれんだと思っても、髄膜炎(ずいまくえん)などが原因で痙攣することもあります。
【熱性けいれんの予防は?】
痙攣予防の座薬を使用することがありますが、熱性けいれんを1度でも起こしたお子さん全員が使用するわけではありません。
痙攣した当日にその後の痙攣予防目的でジアゼパム座薬を使用する場合もありますが、必ずしも全員が必要なわけではなく、その時の状況などで医師の判断で対応することがほとんどです。座薬を使用することで眠気が強く出たり、ぼーっとするような副作用のため、意識の状態が判断つきにくくなることもあります。
その後の発熱時に座薬を使用するかどうかについても必ずしも全員が必要なわけではありません。熱性けいれんガイドライン2015では、以下の場合に座薬を使用することを推奨しています。通常は、発熱時(37.5℃以上)に使用して、1-2年間けいれんがなければ、予防投与を中止します。
1)以前の痙攣時間が長かった(15分以上)
2)いずれか2つ以上を満たす熱性けいれんが2回以上反復した場合
a. 家族内に熱性けいれんの既往がある
b. 1歳未満で熱性けいれんを起こした
c. 発熱から1時間立たずに痙攣した
d. 37℃台だったが痙攣した
e. お子さんに発達障害がもともとある
f. 24時間以内に痙攣を繰り返した
各病院・クリニック毎、先生毎にいろいろな考えで適応を決めている場合もあり、主治医の先生と相談して今後の対応を決めましょう。
【解熱剤は使用しないほうがよい?】
解熱剤を使用して、その後に再度熱が上がるときに痙攣しやすくなるということはありません。解熱剤を使用しても痙攣予防になるということもありません。
お子さんが熱で眠れない、息苦しそうなどあれば使用しましょう。首やわきの下を保冷剤でクーリングすることも有効です。
【予防接種はどうすればよい?】
けいれん発作後、2-3か月間隔をあけて接種することを推奨するガイドラインがありますが、欧米ではとくに基準は明確ではありません。
ワクチン自体はすべて接種して問題ありませんが、ワクチンごとに副作用など異なるため、接種時期を含めて主治医の先生と相談して決めましょう。