HPVワクチンを接種しましょう
HPVワクチンはヒトパピローマウイルス(HPV)感染を予防し、HPVの持続感染が原因である子宮頸がんを予防するワクチンです。2020年10月に、17歳未満でワクチンを接種した場合には子宮頸がんの発生が88%減少したと報告がスウェーデンから最も権威のある医学誌に報告されました。1)子宮頸がん検診を組み合わせることで、子宮頸がん撲滅が現実化してきました。
子宮頸がんには40歳台、30歳台を中心に年間約1万人が罹患し、20歳台で増加傾向が認められています。若年者に多いために、罹患した場合には人生に大きな影響が出ます。
HPVワクチンは、日本では小学6年生~高校1年生の女子を対象に、半年間で3回接種するワクチンです。多感な思春期女子が対象で、日本では稀である筋肉注射ですが、十分に説明し接種後の見守りを確保すれば安心して実施できます。希望される方は、お電話にて先ずご連絡をください。
2013年4月から定期接種が始まりましたが、接種後の多様な症状(関節や身体が痛む、歩けなくなった、突然力が抜ける等)が報告されたために、わずか2カ月で「積極的勧な接種勧奨」中止となり接種率はほぼ0%で推移してきました。しかし、接種者3万人が回答したアンケート調査(名古屋スタディ)の結果、接種後の多様な症状とHPVワクチン接種との関連性は認められず、HPVワクチンの安全性が他のワクチンと同様に確保できているというWHO(世界保健機関)の報告を支持するものでした。2) このような背景を踏まえ、政府から2019年12月に内閣総理大臣名で「勧奨を実施する必要があり、具体的な方法は市町村長に一定の裁量がある」旨の答弁書が出されました。
1)Lei J, et al. N Engl J Med. 2020 Oct1; 383(14): 1340-1348
2)Suzuki S. et al. Papillomavirus Research 2018; 5 :96-103
2020.11.30