妊娠中からできる赤ちゃんへのプレゼント🎁:百日咳とRSウイルス感染症から守るために
皆様、こんにちは。医療法人社団育心会 理事長の三井です。
今回は、生まれてくる大切な赤ちゃんを二つの感染症から守るために、妊娠中からできる素敵なプレゼントについてお話したいと思います。
それは、「百日咳ワクチン(TdapまたはDPT)」と「RSウイルスワクチン(アブリスボ®)」の接種という、未来への安心を贈る備えです。
知っていますか?百日咳の脅威
最近、百日咳に関するニュースを目にされた方もいらっしゃるかもしれません。
百日咳は、特有の激しい咳が長く続く、非常に感染力の強い病気です。
その感染力は、なんと麻疹や新型コロナウイルスよりも高いと言われています。
参考:毎日新聞「「百日ぜき」生後1カ月女児が死亡 耐性菌に感染、基礎疾患なし」
生後2ヶ月未満の赤ちゃんは、まだ百日咳のワクチンを接種することができません。
そのため、周りの大人が感染を防ぎ、赤ちゃんにうつさないことが非常に重要になります。
日本小児科学会のデータによると、百日咳にかかった赤ちゃんの感染源として、きょうだいからが22%、母親と父親がそれぞれ12%という報告があります。
ご家族からの感染も決して少なくないのです。
さらに、乳幼児期に接種した百日咳のワクチンによる免疫は、残念ながら4年ほどで低下してしまいます。
そのため、学童期以降にも百日咳が流行し、まだ免疫のない赤ちゃんにとって大きな脅威となることがあります。
日本小児科学会は、5~7歳未満と11~12歳に百日咳を含むワクチンの追加接種を推奨していますが、現状では任意接種のため有料であり、接種率はまだ低い状況です。
海外では、妊婦への百日咳ワクチン(TdapまたはDPT)接種が広く推奨されており、赤ちゃんが生まれてすぐに免疫を持てるように対策が進んでいます。
妊娠中の百日咳ワクチン(Tdap/DPT)接種:赤ちゃんへの最初のプレゼント
妊娠中の皆様にとって、赤ちゃんに百日咳の抗体を移行させてあげることが、TdapまたはDPTワクチン接種の大きな意義です。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)も、妊娠27~36週におけるTdapワクチンの接種を推奨しており、過去の接種歴は問わず、接種が推奨されています 。
妊娠27~36週頃に、百日咳を含むワクチン(DPTまたはTdap)を接種しておくことは、赤ちゃんを百日咳から守るために非常に有効な手段です。
新しい選択肢:RSウイルスに対する母子免疫ワクチン「アブリスボ®」
そして、もう一つ、妊娠中の皆様にとって心強い味方となるのが、RSウイルスに対する母子免疫ワクチン「アブリスボ®」です。
2024年6月から日本でも接種が可能になりました。
RSウイルスは、赤ちゃんの呼吸器感染症の主な原因の一つであり、生後6ヶ月以内の赤ちゃんが感染すると重症化しやすく、時には集中治療が必要になることもあります。
現在、RSウイルスに有効な特効薬はなく、治療は症状を和らげる対症療法が中心です。
「アブリスボ®」は、妊娠24~36週の妊婦さんが接種することで、お母さんの体内で作られたRSウイルスに対する抗体が胎盤を通して赤ちゃんへ移行し、
生まれてくる赤ちゃんがRSウイルス感染症にかかるのを防ぐことを目的としたワクチンです。
臨床試験では、アブリスボ®の接種により、概ね発症予防効果が50%、重症化予防効果が80%と報告されています。
費用は自己負担となりますが、大切な赤ちゃんをRSウイルスの脅威から守るための、非常に価値のある選択肢と言えるでしょう。
妊婦さんと赤ちゃん、両方を守るために
妊娠中に百日咳ワクチン(TdapまたはDPT)とRSウイルスワクチン(アブリスボ®)を接種することで、
お母さんから赤ちゃんへ大切な抗体が届けられ、生まれてくる赤ちゃんを二つの大きな感染症から守る確率がぐっと高まります。
妊婦さんと赤ちゃんの健康は何にも代えられません。予防できることはしっかりと予防しておきましょう。
いかがでしたでしょうか?このブログが、妊婦の皆様にとって、赤ちゃんを守るためのより具体的な情報となることを願っています。
全てはこどもの笑顔のために
私たち医療法人社団育心会は、『全てはこどもの笑顔のために』を理念に掲げ、日々の診療を行っています。
妊娠中のワクチン接種は、まさに未来の笑顔を守るための、最初の一歩です。
ご希望の方や、さらに詳しい情報を知りたい方は、お気軽に当院までお問い合わせください。
皆様と赤ちゃんの健やかな未来のために、私たち育心会はこれからも寄り添ってまいります。
RSウイルスに対する母子免疫ワクチン「アブリスボ®」に関するお問い合わせは以下クリニックまでお願いします。
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【参考資料】
• Yahoo!ニュース
• CDC – DTaP/Tdap/Td (Pertussis) Vaccine During Pregnancy
• 日本小児科学会