日焼け止めを選ぶポイントと塗り方
7月に入り、日射しの気になる季節になりました。外来では日焼け止めについてご質問をいただく機会が増えています。何を基準に選ぶべきか迷ってしまう方も多いと思いますので、選ぶ際のポイントについて簡単にお話させていただきます。
まずはタイプについてですが、小さいお子さんの日常使いではお湯や石鹸で簡単に落とせるミルクタイプがおすすめです。日常使いのものは必ずしもSPF値(*1)やPA値(*2)の高いものである必要はありません(SPF30、PA+++程度までのもの)。長時間外出する際やアウトドア、海やプールなどの場合はウォータープルーフタイプで、数値の高いものがおすすめです(SPF50、PA++++など)。場面によって使い分けましょう。
いずれも汗や皮脂で落ちてしまったりするため、数時間に1回は塗り直しをすると効果的です。塗る量が足りない場合も多いので、規定量をしっかり塗り、耳、首、手の甲なども塗り忘れないようにしましょう(*3)。
「紫外線吸収剤(ケミカル)(*4)」と「紫外線散乱剤(ノンケミカル)(*5)」という言葉も聞くことがあると思います。紫外線吸収剤は人によって刺激感を感じることがあるため、敏感肌の方は散乱剤が用いられたものを選ぶと安心でしょう。ただ、皮膚の性質は人それぞれなので、散乱剤でも合わないこともありますし、吸収剤が必ずしも刺激になるわけでもありません(最近の吸収剤は質が高くなってきています)。さらに、無香料や無着色のものを選ぶと皮膚への刺激が少なく安心でしょう。皮膚への影響は個人差があるため、使い始める際に二の腕の内側などに試し塗りをして問題ないことを確認してから使い始めるとトラブル予防になります。
お出かけする場所や時間帯、その日の天気などに応じて、帽子などもあわせて使ってください。しっかりと紫外線対策をして楽しい夏をお過ごしください。
*1 SPF値:Sun Protection Factorの略で、UVBに対する防御効果を表しています。日焼け止めを塗ったときに、塗らない場合の何倍赤みがでにくくなるかを示す指標です。
参考:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/q12.html
*2 PA値:Protection Grade of UVAの略で、UVAに対する防御効果を表しています。「+」が増えるほど防御効果が高いことを示します。
参考:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/q12.html
*3 日焼け止めの塗り方
顔の場合、クリームタイプはパール粒1個分、ローションタイプは1円硬貨1個分を手に取り、額、鼻の上、両頬、顎においてまんべんなく塗りのばします。その後もう一度同じ量を重ねづけします。
腕や足の場合、容器から直接、直線に伸ばし、らせんを描くように均一にのばします。人差し指から小指までの4本の指を使うと伸ばしやすいです。
参考:https://www.dermatol.or.jp/qa/qa2/q13.html
http://jspd.umin.jp/qa/03_uv.html
*4 紫外線吸収剤(ケミカル):紫外線のエネルギーを吸収し、熱などのエネルギーに変換することで、科学的に紫外線から皮膚を防御します。
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル、オキシベンゾン、t-ブチルメトキシジベンゾイルメタンなどが代表成分になります。
参考:https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/keshouhin/dl/keshouhin-a.pdf、
本間茂継. 化粧品開発に用いられる紫外線防御素材. J.Soc. Cosmet. Chem. Jpn. Vol.48, No.1 2014
*5 紫外線散乱剤(ノンケミカル):皮膚表面で紫外線を反射散乱させ、物理的に紫外線から皮膚を防御します。酸化チタン、酸化亜鉛が代表成分になり、塗ったときに少し白くなります。
参考:本間茂継. 化粧品開発に用いられる紫外線防御素材. J.Soc. Cosmet. Chem. Jpn. Vol.48, No.1 2014